器用さと想像力の間で

屋根工事・修理に関わることで何が一番必要かと聞かれれば「手先の器用さと、同じくらいの想像力」であるとBさんは答えます。例えば、金属の四角い板に丸い穴を開けるとすると、何をどうすれば必要な形をくり抜くことが出来るのか、そのイメージを持っていなければ、手を動かすことができない。逆にいえば、想像力があっても、その形を形成する技術がなければ何もできない。そのギャップが苦しいからこそ、屋根職人は常に勉強を続け、同じくらい手技の術も磨くのだとBさんは語ります。「そうして一歩一歩、少しずつでも確実に歩んでいけるのが、屋根職人という仕事の面白さですよね」

また、仕事のやり方は職人によっても様々な方法があり、百人の職人が集まれば百通りの方法で解決策を生み出すのだそうです。時代性も勿論あるでしょうけど、環境にも左右されます。Bさんの話によれば、例えば雪の多い地域とほとんど降らない地域では、屋根の修理方法も全く違い、使われる素材も変わってくるそうです。その地域の気候までも、きちんと頭に入れておくことが職人には必要であるといいます。その上でBさんは屋根職人としてやっていくために常に勉強を欠かしません。「どこへ行っても仕事ができる。どこでも通用するようになるためには、きちんとした基礎を持っておくこと。その上で話したような器用さと技術がついてくる。その積み重ねが確かな成果として実っていくのが屋根職人の世界なんじゃないでしょうか」

Bさんの語り口はとても几帳面で誠実です。そうした人格からも伺えるように、職人としての志も半端なものでは決してありません。どうしてそのようになれたのかと聞いてみれば「当たり前ですが、始めた頃は本当に何も出来なかった。それが悔しくて努力した。職人の世界というのは意地っ張りな人の集まりなのかもしれません」と答えてくれた。

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